武蔵大学 GUIDEBOOK 2026
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社会学部/社会学科社会学専門ゼミ1・2私たちの周囲には多様な背景を持って日本に移住してきた「国際移民」がいます。家に届く宅配便を仕分けしたのも、身近なコンビニ弁当を作ったのも、実は外国から来た労働者たちかもしれません。労 働 移 民、政 治 難 民、高 技 能 移 民などと呼 ばれる彼らのなかでも、近年顕著に増えているのが女性の労働移民です。母親が海外に出かせぎに行くことが増えています。彼女たちは、先進 国でベビーシッターや 家 事 労 働 者、介 護 労働者として働いていて、日本の老人ホームや介護施設でも東南アジアからの女性移民が多数働くようになりました。移民をめぐる問題につ いては、労働移民や 女性移民の低賃金や虐待といった移民受入国での労働環境が問題視されることが多いですが、移 民 の 出 身 国まで 思 いを巡らせてみると、祖国に残してきた子どもたちは母親不在という状「グローバリゼーションの社会学」北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。同研究科専門研究員、名古屋学院大学国際文化学部国際協力学科准教授などを経て、2019年より武蔵大学に着任し、2024年より現職。専門は国際社会学、移民・難民研究、グローバリゼーション。況下でどのように暮らしているのかといった問いも生じてきます。また、移民による海外送金、在外投票、二重国籍など移民を送り出す国と受け入れる国の両方に関わる問題も広まっています。学内に目を向けても、海外にルーツを持つ 教員や友人も多数います。まずは身近なところから意識してみることで、世界につ いて考え、想像を広げてほしいと思います。ゼミでは、国 際 移 民という「人 の 越 境 移 動」にまつわる現象を主なテーマとしていますが、これは国境を越えて人が移動する「グローバル」な問題にとどまらず、多様な背景を持つ人々が共 生 できる社 会 を い か に 実 現 するかという「ローカル」な問題でもあります。広い視野を持つことで、学生たちには私たちが暮らす日本を含め、互 いに遠く離れ た国や 社 会で生じる出来事が深くつながっていること、そのつながりが近年ますます深化・拡大していることを理解してほしいと考えています。またゼミでは、話し、聴き、討論することで他者に自分自身の考えをしっかりと伝える力を養うことを大事にしています。大学の授業で得た知識はいつか必ず「古く」なってしまいます。知識や 情報を比較・相対化し、抽象的・具体的な事象との 関 連 づ けを意 識しながら、常 にアップデートできるようになってください。「答え」ではなく、「答えの出し方」を身につけてほしいと考えています。人見 泰弘 教授071 人の越境移動が広まるなかで生じる問題に目を向けるグローバルでローカルな世界のつながりを意識するゼミの学びいつも食べているコンビニ弁当作った人の国籍を意識したことはある?

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