武蔵野美術大学 大学案内 2026
42/76

彫刻学科SCULPTURE専任教員 客員教授 冨井大裕教授[主任]彫刻(ミクストメディア)伊藤誠教授彫刻(彫刻全般)三沢厚彦教授彫刻(木彫)保井智貴教授彫刻(乾漆・デジタル)岡﨑乾二郎美術全般美術批評棚田康司彫刻『業務―看板持ち』写真│ミクストメディアAKI INOMATA現代美術木材でつくった型に石膏を流し込んで任意のかたちをつくる課題で、私はファスナーをモチーフにしました。硬いけれど脆く、動くものにはあまり使われない石膏に可動性を与えてみたかったからです。制作中に一番悩んだのは、イメージ通りの仕上がりを目指し、段階を踏んで作業を進めていた自分の方向性が、「型から出てきた石膏から意図していなかったかたちや現象を発見して学んでほしい」という課題の意図と相反しているのではないかということ。ただ、石膏をうまく流し込めなかったりと、すべてが思った通りになるわけではなく、「次はこうしたい」と新たな課題を見つけられました。自分の限界に挑戦するような難易度の高い作品をこれからもつくっていきたいです。彫刻B(内側のかたち)彫刻D・E(塑造実習Ⅰ・Ⅱ)美術系の短期大学でテキスタイルを学び、2年次編入でムサビに入学した私にとって、2年次前期の授業は初めて経験することばかり。芯棒のつくり方や石膏の溶き方などの基本を、先生や友人にしっかりフォローしてもらえたことはとても助けになりました。マンガから切り抜いたかたちをFRPとテラコッタで成型する課題では、縦にしても横にしても成り立つ彫刻H(プランニング/エクササイズ)植田大誠さん│3年知らない世界を垣間見るため、さまざまな単発バイトを300回以上やってきました。この作品は「看板持ち」を任されたときに感じた違和感や社会への疑問を、ちょっと笑えるかたちで表現したくて、長い間温めていたアイデアを写真で表現したものです。当初は自分をモデルにしていましたが、何かが違うと実家の父に協力してもらったところ、「これだ!」と思いました。授業自体はプランニングがテーマで、企画書段階のディスカッションがメイン。先生との距離が縮まり、協働による制作が増えている彫刻領域で、人に伝わりやすいプレゼンテーションを意識する機会にもなりました。これから進むべき方向も決まり、目下の目標はこの作品の映像化。長期休暇中に実現したいです。宮内愛祐美さん│2年村田遊馬さん│1年なるべくシンプルな造形が求められ、FRPはできる限り表面を鏡面に仕上げるという条件も加えられました。FRPの成型後はひと月ほどずっとやすりをかけ、講評前は自宅に持ち帰り磨き続けました。機械を使えばあっという間でも、手仕事の大変さが身体にしっかり記憶され、それだけの熱量が制作には必要なのだと学べました。3年次開講1年次開講石膏H300×W700×D300mm2年次開講4年次開講『イニュ』ソフトスカルプチャー、パフォーマンスウレタンスポンジ、布H1650×W1000×D2000mm私の考える「かわいい」がかたちになってきた硬いけれど脆い石膏に可動性を与えてみる身体に記憶された手仕事の大変さ存在しない場所への看板を持ち続ける081『無題』テラコッタ、FRPH350×W450×D220mm彫刻N片岡真菜さん│4年卒業制作を前にした最後の課題で、グループ展が条件でした。私は日本画学科の友人と、実家で飼っている犬をモデルにしたパフォーマンスを行いました。落書きやイラストの延長のようなヴィジュアル、親しみやすさを探り続け、これまでも犬をモチーフに木彫やぬいぐるみをつくってきましたが、今回は能動的に人を楽しませたくて初めてパフォーマンスに挑戦。また、大きな作品が周囲に与える影響への好奇心から、自分の身体以上のサイズを設定しました。狙いを持ち過ぎず、つくりたいものをつくっていろんな意見を聞こうという姿勢で臨んだことで、解釈してもらえる幅が広がり、「作品には深いコンセプトが必要」という思い込みから自由になれた気がします。教員紹介教員学生による授業紹介

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る