武蔵野美術大学 大学案内 2025
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本学では企業や自治体、諸団体と連携したプロジェクトを数多く展開しています。美術大学ならではの実践的な産学連携をはじめ、地域の大学や高校、コミュニティとの連携を強化し、地域における人材育成や産業振興、文化振興に寄与する活動も実施しています。高大接続の推進や国内外の大学や機関との交流・提携にも積極的に取り組み、本学の造形教育と教養教育で培われる総合的な力―創造的思考力を用いた、新たな社会価値創造に向けた挑戦に力を入れています。126撮影:nanako ono127地域の障害者や高齢者が積極的に文化的な活動に参加できる共生社会をテーマに、視覚伝達デザイン学科の3年生が株式会社ブリヂストンとともに「関係のデザイン」「参加のデザイン」に取り組みました。空間構成Ⅲおよび環境デザインⅡAの授業内でフィールドリサーチを行って課題を抽出し、視覚伝達デザイン学科の特色かつ強みでもある感応的な媒体やアートを活用するヴィジュアルコミュニケーションを主軸に、2023年度は障害者自身が自分の作品を紹介するギャラリートーク、障害者教室との工作ワークショップ、web上でのアバター制作など、障害の有無にかかわらず楽しめる企画立案・実施・作品展示・情報発信を行い、その成果を検証しました。工芸工業デザイン学科、基礎デザイン学科、クリエイティブイノベーション学科を中心として、インド北東部の竹資源の利活用について多様な視点で提案する学科横断型の国際的なプロジェクトです。独立行政法人国際協力機構(JICA)の技術支援プロジェクトとの連携となります。2023年度は教員と学生がインドのデリー、ゴウハティ、ディマプル、ジョルハート、インド北東部地域を訪れ、現地の竹生産地や生産者の調査、India Design Weekを見学し、National Institute of Design Assam校とワークショップを行いました。2024年度もプロジェクトのフェーズに応じた内容で継続を予定しています。木と透明性、相反する2つの要素がかけ合わさることでどのような価値が生まれるのか。資生堂みらい研究グループが開発に成功した、完全天然成分でできた透明の木材。そのマテリアルリサーチを通し、工芸工業デザイン学科クラフトデザインコース木工専攻の3年生が、新素材の新たな価値の探求と木材本来の既存価値の再考を試みました。工芸工業デザイン学科のリサーチ課題授業「WOOD - New Encyclopedia」の一環として資生堂みらい研究グループと協業し、2024年1月には東京都渋谷区のギャラリー(PLACE) by methodにて成果展「Wood x Transparency?」を開催しました。研究・社会貢献本学と熊本県天草市の連携活動の一環として、クリエイティブイノベーション学科の学生が1カ月間滞在し、天草の魅力を翻訳し発信する活動を行っています。また、株式会社日本総合研究所との共同研究の一環として、天草市をフィールドに新しい官民連携や地域連携モデルの研究を行っています。これらの背景から、天草を代表する酒造メーカーである合名会社天草酒造と有志学生により、芋焼酎「池の露・土着」の開発およびラベルデザインを行いました。本製品は学生・卒業生がデザインしたラベルを毎年変えながら5年にわたり販売が予定されています。1年生から4年生を履修対象とした授業「ロボティクス演習」で「自分の欲しいパートナーロボット」をテーマに学生が制作した課題作品と、ユカイ工学株式会社の製品や未発売のプロトタイプを「Creative Robotics展」と題して展示するとともに、トークイベントや子ども向けワークショップを行いました。近年、既存の機械工学だけでない「表現としてのロボティクス」の領域は国際的にも注目され、「Creative Robotics」と呼ばれ始めており、美大生のクリエイティブな感性が生かされ得る領域でもあります。公益財団法人新宿未来創造財団の子ども向けアートクラブの一環として、本学卒業生のアーティストを講師に招き、コラージュワークショップを実施しました。小学生34名を対象に、お題に沿って共同で制作をする「アート島」をめぐりながら、さまざまな素材や画材、他者の考えに触れ、身の回りの素材を組み合わせて「自分の心の形」をテーマにコラージュ作品の制作をすることで、美術を身近に感じるきっかけづくりや現代を生きる美術作家との交流の機会の創出を図りました。循環型社会に向けた人の行動変容と習慣化を促す価値共創のデザインをテーマとして、クリエイティブイノベーション学科の学生が株式会社メルカリの研究開発組織「mercari R4D」と共に、サービスデザインに係るプロジェクトを実施しました。本プロジェクトでは、環境にやさしい行動の習慣化や、価値が永く■り続ける仕組みについて具体的な手段を探索しながら新サービスのコンセプトを開発すると同時に、一連の検討プロセスに関わる中で学生自身が感じた循環型社会に対する学びのデザインにも目を向けました。共生社会実現に向けたブリヂストンとのコミュニティデザイン視覚伝達デザイン学科インド北東部地域における竹資源利活用推進プロジェクト学科横断木材の未来の可能性を提示する資生堂みらい研究グループとの協業工芸工業デザイン学科5年にわたり販売を予定天草産芋焼酎の開発・ラベルデザインクリエイティブイノベーション学科“表現としてのロボティクス”を探求「Creative Robotics展」の実施 学科横断児童が美術を身近に感じるきっかけをつくるワークショップ卒業生・有志学生循環型社会の実現に向けたメルカリとのサービスデザインクリエイティブイノベーション学科社会連携COLLABORATION

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