武蔵野美術大学 大学案内 2025
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建築学科 IARCHTECTURE3年次後期の布施スタジオでは2つの課題に取り組みました。これは一定の条件を満たす実際の売地に住宅を設計する第一課題の提案です。私が選んだのは、旗竿地なのに敷地部分にも接道がある変わった土地で、それを拠り所に、出処『here+here』スタイロフォーム、ジェッソH450×W450×D450mm(2点)大西明日香さん│2年設計計画Ⅲ-1(小松スタジオ)3年次開講3年次の設計計画は各スタジオが出す課題に取り組みます。小松スタジオでは、場所(出身地)、現象、時間をテーマに1週間ごとに作品制作するワークショップを3週連続で行い、最後は自由制作に挑戦しました。私は、自分が生まれ育った東京にはモノがあふれているが故に豊かさが失われているという思いから、身近にあるモノの新たな一面を「立ち上げる」ことで、その存在を慈しむきっかけになることを期待して制作しました。授業は一貫して、素材に向き合うことを大切にしていました。これまで学んできた建築的な造形表現とアートとしての造形表現のギャップに戸惑いながらも、頭に描いたものを実寸でつくり出せたことへの達成感を感じ、造形力も磨けました。鴨下莉子さん│3年頭に描いたものを実寸でつくり出せた達成感コロナ後の「心地良い空間」を考える1年次開講藤井杏莉さん│3年風呂敷を広げながら回収しながら哲学的思考から造形する強度の高さ平林知也さん│4年3年次開講設計計画Ⅱ-1(小規模集合住居)2年次の設計計画は、住宅、集合住宅、駅舎、セミナーハウスと、授業が進むごとに課題の規模が大きくなります。都心の駅近エリアに小規模集合住宅を設計する課題では、「コモン」についての考えを表現することも求められました。私は人との関わりが希薄になってしまったコロナ禍の経験から、住人が直接的なコミュニケーションを取らなくても心理的安全性を得られる住宅を提案しました。本屋や外階段からつながる屋上、アール状の壁面などを採用して賑わいを創出し、家の中にいても閉塞感なく社会とほどよい距離感でつながれ、生活が室内で完結せず敷地全体へにじみ出すような住宅を目指しました。住人や利用者にとって心地良い空間を考える面白さがありました。設計計画Ⅲ-2(布施スタジオ)それ自体が新たな気付きを与えてくれる作品に成り得ることを目指しました。いわゆる建築学的なアプローチではない他領域の興味深い世界の見方を、建築に応用させるコツをつかめた感触があるので、今後の課題にも生かしていきたいです。設計計画Ⅳ(布施スタジオ)4年次開講一般的な設計課題なら提示される敷地や条件の前提がなく、でも課題の進め方は厳密に決められていました。哲学的思考からかたちを造形していく設計手法の強度の高さやクリティカルさに触れられたことで、自然と手が動いて出てきたかたちを信じられるようになったと思います。卒業制作にも大きく影響を与えた課題です。『pull up!!!』インスタレーション│木材、モルタル、土H380×W655×D655mm、H700×W210×D210mm『心理的距離の概算』スチレンボード、ケント紙、サーフボード、バルサ材、画用紙、かすみ草H400×W300×D300mm『CONTACT PRINT』キャンバス地H800×W350×D400mm081専任教員小西泰孝教授[主任]建築構造学構造設計菊地宏教授建築デザイン國廣純子教授まちづくり都市デザイン地域マネジメント市街地再生高橋晶子教授建築デザイン長谷川浩己教授ランドスケープ・アーキテクチュア布施茂教授建築設計建築デザイン持田正憲教授設備設計建築環境デザイン小松宏誠准教授建築美術空間表現客員教授大島芳彦建築設計コミュニティーデザイン地域創生永山祐子建築設計卒業制作を前にした最後の設計計画で、各教授の課題を自由に選択できました。私が選んだのは「『偶然と必然』の建築」という課題。とても難解でしたが、建築を成立させる指標となる現代社会の価値観が絶対的なものではないとしたら、いま排除されている曖昧さや異質さを受け入れて建築を考えてみようという主旨だったと理解しています。が異なる複数の語り口が並走する作品を構想しました。住宅の中と外のかたちを考えるロジックをそれぞれパラレルに走らせると、お互いがどう干渉し合うかという試みで、建築模型や図面がアイデアの再現ではなく、

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