武蔵野美術大学 大学案内 2025
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空間演出デザイン学科, III SCENOGRAPHYDSPLAYANDFASHONDESGN『restring thelandscape』石材加工の際に出る端材、ダンマル樹脂H580×W520×D335mm左│ゼミ展の展示風景右│ディベロップ後の作品3年次後期から学生はゼミナールに所属します。安藤ゼミはリサーチベースのデザインに取り組むゼミ。石材を扱う大蔵山スタジオの魅力を社会へ広げるための家具もしくはインスタレーションを制作する課題では、スタジオが代々続けている緑化整備を通じた山の修景作業に感銘を受け、その再解釈として伊達冠石の端材を積み上げてスツールに再構築しました。接着には石工の伝統的な補修技術を応用しています。かたちから入らず、石材の歴史や社会的課題のリサーチに時間をかけてコンセプトを練りましたが、改善の余地しかないと感じて展示発表後もディベロップを続けました。コンセプトメイク、思考の筋道の立て方など、先生との対話からたくさんの学びがあります。『無主物の場』和歌山県田辺市で開催されたキャンプイベントでのフィールドワークの様子表現が制限される時代だからできること好みに固執せず、共感される作品を白間アリーシャファイゼルさん│1年1年次開講2年次開講小林玲王奈さん│2年ディベロップを繰り返し理想に近づける3年次開講4年次開講■坂彩さん│3年環境計画(現 環境メディアデザイン)コース自然環境に配慮したデザインの重要性小澤拓生さん│4年インテリアデザインコースデザイン基礎Ⅱ(体験と実習)法律の抜け穴を指す「ループホール」という言葉がテーマの授業です。言葉の分析やループホールがモチーフの作品の調査などを経て、お店で買えるもので何かをつくるのではなく、拾ってきたものや本来の用途を変えたものを用いて自由にアイデアを表現しました。自由な表現が制限される時代だからこそ、何ができるのかを考える課題だったと理解しています。空間演出デザインⅡ(ノアの方舟)空デの4領域の講座を興味に応じて選択できる授業で、セノグラフィの講座では「ノアの方舟」を机1台分のスペースで自由に表現する課題に取り組みました。私は旅の荷造りのためにお気に入りを選びカバンに詰める感覚と、潔い動物や汚れた動物を選別する感覚が似ていると感じて、キャリーケースをテーマに、地上に残された動物たちの眼に映『旅行』木材、羊毛フェルト、布│H600×W900×D600mm空間2(環境計画)D空間1(インテリアデザイン)F077専任教員津村耕佑教授[主任]ファッションデザイン五十嵐久枝教授インテリア・家具デザイン池田ともゆき教授舞台美術・装置太田雅公教授舞台衣装片山正通教授インテリアデザイン鈴木康広教授環境デザインアーティストパトリック・ライアン教授ファッションデザイン安藤北斗准教授デザイン北川陽史准教授彫刻客員教授種田陽平映画美術ステージデザイン面出薫照明デザイン吉本有輝子舞台照明デザインる「選ばれた動物」への憎悪を表現しました。短い制作期間で理想のクオリティに近づけようと毎日夜中まで制作し、棚も自作しました。自分の好みに固執せず、いかに多くの人に共感される作品をつくれるか、という課題のもう1つの意図に答えることは大変でしたが、投票制の講評で人気を得られ、純粋にうれしかったです。私は新聞紙を布に見立て、パフォーマンスを行いました。極めて個人的な動機から始まった作品で、本来訴えたかったこととのズレや鑑賞者への配慮など、検討の余地はたくさんあったと今では思います。これからはファッションを軸に、作品を完成させたら跡形もなく消えてしまうような、そんな方法を考えていきたいです。1年を通してゼミで活動する4年次、五十嵐ゼミは年の始めに決めたテーマに沿って研究を進めます。私のテーマは「無主物」。所有者のないモノを指す言葉で、廃棄物も自然物も同じ無主物なのに区別されていることへの疑問から設定しました。夏には先生からの紹介で、和歌山県のまちおこしプロジェクトにも参加しました。ゼミの課題や素材研究を機に制作した、廃材を利用した日本の伝統的なアウトドアギアである野燗炉や円座といった座具を持参。無主物を生き返らせる一番の方法は人に使われることですから、地元の人の前で披露できた経験は貴重でした。インテリアデザインも持続可能性の問題を避けては通れません。アニミズム的文化なども融合させながら、これからのデザインに求められるものを考えていきたいです。

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