武蔵野美術大学 大学案内 2025
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1年次開講工芸工業デザイン学科NDUSTRALNTERORANDCRAFTDESGN, I II I I『薄明光線』ブローチ│Silva950、赤銅、金箔H13×W85×D46mm可変する独自機構で最高記録を更新課題のブラッシュアップが自信につながった柴田千耀さん│3年クラフトデザインコース金工専攻髙山琥鉄さん│1年メージし、雲間から差し込む光を表現しています。ブラッシュアップするにあたり、日本の工芸品の仕上げに使う「煮色着色」という伝統技法を用いて赤銅を黒く青みがかった色に変化させ、赤銅の裏側に貼っインテリアデザインⅡシンプルなギミックを用いたプロダクトをデザインする課題です。タイルの溝にはめ込んだホースが、掛ける・置く・挟むといった家具の動作を担います。道を歩いていた時、レンガの溝にコードを添わせているのをたまたま見つけ、本来の用途ではない使い方をされて、しかも理に適っていることに面白さを感じたのが制作のきっかけです。水を通すホースが家具の一部になっていることや、普通は壁面を覆うタイルがただの柱になっていること、MDFという水に弱い素材とホースを組み合わせることで、意外性のあるプロダクトにできたと思います。今後も機能の先にある新しい価値を見いだし、見た人がはっとするような作品をつくっていきたいです。井上知高さん│2年インテリアデザインコースた金箔を奥に広がるシルバーに反射させることで、奥行きのある光をつくり出すことにこだわりました。JJAジュエリーデザインアワードで新人大賞と日本ジュエリーデザイナー協会会長賞を受賞でき、自信にもつながりました。本来の用途にとらわれない新しい価値を2年次開講クラフトデザインⅣ3年次開講山本梨々香さん│3年クラフトデザインコーステキスタイル専攻自然がテーマの自由課題で、作品のコンセプトは「土の精霊」です。土につくらされている感覚や、炎の中からまったく知らない表情が現れてくる奇妙さ、何かが宿っているような気配を基に、大学の工房にある窯ではなく野焼きで焼成するため、自分で土を掘り、粘土をつくるところから始めました。粘性がない原土はとても扱いづらく、失敗をたくさん繰り返しましたが、土の機嫌をうかがいながらかたちをつくる楽しさがありました。土に頼った制作スタイルだと発展性に限界があるのでは、という講評での指摘を胸に、いまは原土を素材にしながら、つくっていくうちにどんどん遠くへ離れてしまう作品を、再度自分に引き戻していくような制作をしています。土との対話を通してかたちをつくる裁断ゴミと廃棄ストローから生まれたドレスクラフトデザインⅧ4年次開講高岡芽生さん│4年クラフトデザインコース陶磁専攻基礎実習Ⅲ(動くかたち)工デの各コースの学びを体験できる基礎実習の授業の1つで、リンゴの重さで10m自走できる動くかたちをつくる課題です。合理的なかたちにすれば過去の最高記録15mを更新できると思い、可変しながら自走する独自の機構を考えました。リンゴの自重に耐え、なおかつスムーズに走行できる強度を持たせることや、いかに美しいデザインに落とし込むかが苦労した点です。モックアップをつくっては実験を繰り返し、ダンボールを加工するための道具も自作して、最終的に21m弱走らせることができました。デザイン面では改善の余地はありますが、「この作品は忘れない」と先生に言ってもらえた思い出深い作品です。クラフトデザインⅡジュエリー制作の基本を学ぶ2年次の授業でつくった作品の1つを、もう少し技法を追求して精度を高めていけば、完成度も上がり納得できる作品に仕上がると考え、自主的に制作しました。「薄明光線(天使の梯子)」と呼ばれる気象現象からイ『mimiz』/MDF、ホースH1610×W340×D340mm『ゴミとゴミ ゴミとヒト』裁断ゴミ(ニット)、ストローH2000×W800×D30mm『土座』紐作り、野焼き│原土、蜜蝋H600×W200×D200mm、H450×W450×D250mm073専任教員山中一宏教授[主任]インテリアデザインプロダクトデザイン伊藤真一教授インテリアデザイン家具デザイン稲田真一教授カーデザイン大村俊二教授ガラス造形鈴木洋教授金属工芸高橋理子教授テキスタイル着物田中桂太教授インダストリアルデザイン中原俊三郎教授プロダクトデザイン西川聡教授クラフトデザイン陶磁熊野亘准教授木工デザインプロダクトデザイン客員教授岩佐十良雑誌編集宿泊施設などのクリエイティブディレクション川上典李子デザインジャーナリスト21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクター山田遊バイヤー『Parallel motion mechanism』ダンボール、真鍮棒、アルミパイプ等H900×W400×D400mm(伸展時)、H500×W400×D600mm(屈曲時)2年次開講古着に新たな価値を付けてアップサイクルさせる課題です。私はアルバイトを2つ掛け持ちしていて、一方では古着の裁断ゴミが、もう一方では大量の赤いストローがあふれています。課題を出されて真っ先に浮かんだのが、この2つの素材でした。ストローは縦に切り、ヘアアイロンで伸ばすことでクルクルとした表情を出して、ニット同士をつなぎ合わせる糸の役割を持たせています。裁断ゴミの痕跡をそのままドレスにしたくて、ハサミを入れずに理想のシルエットに縫い合わせました。作業は困難でしたが、着て歩いてもほつれることなく、ストローが糸として機能することがよくわかりました。パリコレクションに作品が出展されるという貴重な経験ができたのも財産です。

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