武蔵野美術大学 大学案内 2025
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彫刻学科2年次開講SCULPTURE右│『マンホール』ミクストメディア│鉄、発泡スチロール、ポリウレタンフォームH1600×W1000×D900mm左│【学外発表】東京メトロ銀座駅コンコース「メトロ銀座ギャラリー」での展示風景 粘土と違う素材を扱う面白さと難しさルールを設けて表現の選択肢を増やす1年次開講細沼麦土さん│1年除して、それぞれの素材で成形したあとの修正作業でも、自分がどうしたいかではなくどうすればルールに則った作業ができるかに注力しました。素材の自由度にかかわらず、ルールを設けることで表現の選択肢を増やすことができるという発見がありました。今後も新たな作品を発想する方法を知っていきたいです。太田友理さん│2年独自性を獲得するための実験と習作展示への意識も高める総仕上げの課題小山田開さん│3年3年次開講基礎造形(表現基礎Ⅰ)モデルの動きをドローイングしたうえで、段ボールを使って立体に起こす1年次最初の課題です。私はモデルが持っている空気感をモチーフに、短冊状の段ボール1つ1つがまとっている重さで重力を可視化するような表現を考えました。段ボールを短冊状に加工したのは、モデルのアウトラインだけを縦割りで描いたドローイングがヒントになっています。自分の中で法則をつくり、それに従って制作を進められた手応えはありましたが、受験でずっと触ってきた可塑性のある粘土と違い、切ったり曲げたりすると元に戻らない素材に翻弄されてしまった部分もありました。かたちに関しては、もっと違うアプローチの仕方があったのではないかというのが反省点です。彫刻D・E(塑造実習Ⅰ・Ⅱ)マンガから切り抜いた任意のかたちを基に自分でルールを決めて水粘土で原型をつくり、それをテラコッタとFRPで成形する課題でした。自分で決めたルールだとしても、それに基づいてかたちをつくることで、普段の自分がつくる作品とは異なる傾向のかたちを表現することが狙いです。制作中はできるだけ自分の好みを頭の中から排彫刻H(プランニング/エクササイズ)段ボールH400×W500×D1700mm065専任教員 冨井大裕教授[主任]彫刻(ミクストメディア)伊藤誠教授彫刻(彫刻全般)三沢厚彦教授彫刻(木彫)保井智貴教授彫刻(乾漆・デジタル)客員教授 遠藤利克彫刻岡﨑乾二郎美術全般美術批評棚田康司彫刻テラコッタ、アクリル絵具、FRP、油絵具H210×W390×D335mm(2点)『無題』写真、発泡スチロール、眼鏡、ココナッツの殻、ほかサイズ可変4年次開講素材が与えられてやるべきことが明確に示される基礎課程と違い、専門課程はほぼ自由制作になります。3年次最初の授業として、自分の興味や関心がどこに向いているかを問い直し、独自性を獲得するための実験と習作に取り組みました。彫刻N何梓羽さん│4年自分を取り巻く状況の分析や、コミュニケーションの前提となっているものを疑うという切り口で、直前の授業課題─卒業を目前にいままでの表現から「逸脱」して作品をつくった経験を、自分の作品展開とどう関連付け、飛躍できるかが要求されました。グループ展形式で学内展示し、DMも作成するなど、卒業制作展の予習として展示への意識も高める課題でした。私は「逸脱」の課題で試みた、スタイロフォームと鉄による表現手法を引き継いで、人工的に掘られた地下通路をテーマに、個人の感情と都市、社会との多重的な関連を表現しました。研究室の推薦で学外発表の機会もいただき、大型作品の輸送や設営で考慮するべきことなど、作家を目指すうえで非常に良い学びになりました。「良い作品をつくろう」という考えを無視して、関心の赴くままに身の回りにあるものを使って制作したことで、「自分が認知したものの再現」という共通項が浮かび上がってきたと感じます。わからなさやスケール感の読めなさを作品に込められた一方、素材を固定しないことが逆に制作の難易度を上げているという気付きもありました。今回の制作から着想を得て、音声を立体に組み込んだ作品を構想しています。

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