武蔵野美術大学 大学案内 2025
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「単なる憧れ」から私自身の表現に油絵学科油絵専攻 III I『グッドモーニング』油絵具、オイルパステルH1303×W1940×D30mmPANTNG / PANTNGCOURSE『拡張するエデン』キャンバスに油絵具H910×W1167×D50mm『Playground』油絵具、アクリル絵具、キャンバス、段ボール、木材、紙、アルミパイプ、ビニール管H3200×W2000×D1000mm『9/28』水性樹脂(ジェスモナイト)、石膏H40×W840×D600mm■口望子さん│1年絵画基礎Ⅵ2年次開講絵画の意味を再考し、拡張する絵画基礎Ⅱ1年次開講初めて人に見せたいと思えた作品絵画実習Ⅳ井上息吹さん│3年夜、暗くなると考え事がどんどん膨らんで、眠りたくても眠れないときがよくあります。そんなときは家を出て海へと足を運びます。海岸に着く頃には夜が明け始め、東の空から蛍光ピンク色の太陽が昇り、朝を迎える。すると、何だかすっきりした気持3年次開講予想外の仕上がりから気付けたこと3年次開講057専任教員水上泰財教授[主任]絵画赤塚祐二教授絵画小尾修教授絵画組成樺山祐和教授絵画小林耕平教授現代美術小林孝亘教授絵画諏訪敦教授絵画袴田京太朗教授彫刻町田久美教授絵画丸山直文教授絵画吉川民仁教授絵画客員教授青木野枝彫刻金田実生絵画津上みゆき絵画土方明司美術評論油絵学科の先生それぞれが出す課題を自由に選択できる「選択課題」の1つで、任意の作家を選んで作品に描かれているモチーフを抽出し、自分の表現に落とし込むという課題で制作しました。私が選んだのは中園孔二です。彼の作品の多くはモチーフが人物なので、まずは紙粘土と鉄パイプで頭像をつくり、手指の感覚で人物を認識してから平面に移行しました。描き方も使う画材も違うけれど、高校時代から影響を受けていた作家について自分なりに解釈し、私の表現として作品にすることで、単なる憧れから抜けられたような感覚があったように思えます。想像以上に染み込みがきれいに出るなど、制作中の新たな発見や課題が、この課題以降の制作にも生かせています。野崎想さん│2年自分にとっての絵画の意味を再考し、そのうえで作品をつくる授業です。ジェットコースターや「カフカの階段」など不可逆性を持つものへの興味や、点描技法の絵画からの気付きを基に、人間の認識は不可逆性を孕むものだと感じるようになったのが作品の起点になりました。ドローイング群によるコンポジションですが、上下に置かれた赤い球によって、個々のドローイングは鑑賞者の脳内で緩やかに連結していきます。球の軌道をなぞる行為は描画であり、作者と鑑賞者による二元的な描画行為を経て、認識の不可逆性へのアプローチを試みる1つの絵画作品として制作しました。自分がつくりたいものについて改めて考えることで、自分の中の絵画を拡張する機会となりました。ちで家に帰ることができる─そんな心地を絵にしました。人物にはモデルが存在するわけではなく、ある意味では自分で、ある意味では誰でもない人物です。受験絵画の経験がなく、1年生のときから技術面が課題でしたが、今回は観る人が広がりを感覚的に得られるような絵づくりをしたいと考えました。時間内にすべて描き切れなかった点は課題ですが、初めて人に見せたいと思える作品を描けたと感じています。絵画実習Ⅳ以前から、自分がつくる必要がないものにあえて自分の手仕事を介入させる作品づくりをしていて、学内で作品を展示するコンクールにあたって、講評当日の天気予報を彫刻にしました。発泡スチロールで原型をつくり、天気予報は石膏、天気図は水性樹脂で型を取って成形しています。人の手が入っていてもそれがわからないような作品を目指していましたが、特に天気図は複雑で記号を大きくせざるを得なく、等高線が割れたりと却って手づくり感満載な仕上がりになってしまいました。ただ、講評では逆にそれがよかったのではないかというコメントもあり、展示場所や展示方法については反省が多いものの、「手でつくること」を広く考えるきっかけになった作品です。由井彩友香さん│3年

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