武蔵野美術大学 大学案内 2025
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日本画学科 I IJAPANESEPANTNG『hide in sagamikolake』キャンバス、アクリル、岩絵具、水干H1000×W2440×D1000mm人々を「風景」として描く至難の業だった箔の伝統技法1年次開講『ひとごみ』和紙、水干絵具、岩絵具H727×W910×D30mm吉田絢音さん│2年固定観念的な日本画から自由になれた課題卒業を前に挑戦したいことに挑戦したかった絵画実習Ⅲ(風景)3年次開講宇垣綾乃さん│3年同期のみんなと写生旅行に行ったときの景色を参考に描こうと思っていましたが、目的地に向かうバスの車内で描いたドローイングに一番感情がこもっていると感じて、それを画題にしました。これまでは固定観念的な日本画にとらわれていましたが、「身体性とドローイング」という授業で発見した、体感をそのまま描くようなドローイング表現を取り入れることで、絵の自由度が上がり、気持絵画実習Ⅷ(自主制作)第一に挑戦したかったのは、支持体を曲げること。4年間のうちに「平面って何だろう?」と思うことが何度かあり、立体作品を制作したこともありましたが、今回は鎌のように曲がった支持体に描くことで、鑑賞者の目線や身体が動き出す作品にしようと考えました。卒業制作の予行演習だと思い、日本画の支持体のつくり方をベースに、模型で試行錯誤しながら壁掛けできる構造を検討しました。描いているのは、思春期に通っていた学校がある山の風景です。側面は目の粗い寒冷紗を重ね、たらし込みで描いています。卒業を前に自分の中の膿を出すというか、当時の自分の感情を吐き出すことができたのも良かったです。日本画基礎Ⅱ(風景)海下元嗣さん│1年風景を取材して、自分なりに発見したことを表現する課題です。コンセプトは、人々を「人」ではなく滝や川の流れのような「風景」として描くこと。コロナウイルスの流行で人混みを目にする機会が減っていた中から、活発に人々が動く状況にいることが増え、その開放感と少しの不安を描こうと思い、休日や観光を楽しむ人で賑わう上野公園などで取材を続けました。日本画基礎V(意匠と造形)2年次開講日本の装飾美や西洋の古典文様を研究する授業で、現役の作家を招いて箔の伝統技法も教わりました。この作品はそうした学びを基にした自由制作です。家族旅行で訪れた山奥のお寺でガラス戸越しに本堂を覗いたとき、暗闇の中で金色の観音像だけがぼんやり浮かんでいた光景がずっと頭に残っていて、いつか絵にしたいと思っていました。『いつも貴方を見て居る』岩絵具、水干絵具、金箔、和紙│H910×W1167×D30mm『旅のはじまり』和紙、岩絵具、透明水彩、胡粉、ボールペンH970×W1455mm4年次開講053専任教員間島秀徳教授[主任]日本画絵画岩田壮平教授日本画尾長良範教授日本画絵画室井佳世教授日本画熊澤未来子准教授絵画客員教授北澤憲昭近代日本美術史を踏まえた多面的な視点からの日本画研究國司華子日本画栗林隆現代美術全般日高理恵子絵画エアコンを止めないと飛んでいってしまうほど薄く、かつ高価な金箔を思い通りに扱うのには苦労も緊張もしましたが、画面の中で効果的に使えました。ガラス戸に外界と堂内が映り込んでいるという複雑な状況をどこまで伝わるように描くべきかを考え、わかりやすさが絵の良さに必ずしもつながるわけではないと気付けたことも収穫です。一人ひとりが人に見えるか見えないかというギリギリのかたちを探り、取材で感じた雰囲気は出せましたが、画材にまだ慣れていないため、繊細さが出せていないように感じます。1つ1つの線に神経を入れて、丁寧な作業で一発で描くことができれば完成度も上がると思います。ち的にも楽になった気がします。大きな画面の中で線が単調にならないように強弱を付けたり、粗めの絵の具を使ってみたりと、生き生きとした線と絵具表現の良さを両立させることに力を入れました。ただ、ドローイングの線をコピーしている感覚もあり、それがこれからの課題です。吉田真納タルーラさん4年

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