武蔵野美術大学 大学案内 2024
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日本画学科 I IJAPANESEPANTNG日本画基礎Ⅱ(野外)日本画基礎VI(表現と発想)2年次開講使い慣れた水彩絵具との違いを理解することに苦労した中井陽水さん│1年丸山咲さん│2年写真からよみがえってきたおぼろげな記憶を表現する丸山大樹さん│3年和田はるなさん│4年恐竜をただ描くだけではない、絵画的な面白さを模索した作品自然のループを表現しようと思い洞窟のような展示空間に挑戦した絵画実習Ⅳ(コンクール課題)3年次開講絵画実習Ⅷ(自主制作)4年次開講『memory.1』木製パネルに雲肌麻紙、岩絵具、水干絵具、他H803×W606×D23.5mm雲肌和紙、墨、水干絵具、岩絵具、他H727×W530mm『王者残存』岩絵具、銀箔、パステル、水彩H1000×W1500×D30mm『環』雲肌麻紙、岩絵具、水干絵具、パステル│H1830×W1930mm059専任教員間島秀徳教授[主任]日本画絵画岩田壮平教授日本画尾長良範教授日本画絵画西田俊英教授日本画室井佳世教授日本画客員教授北澤憲昭近代日本美術史を踏まえた多面的な視点からの日本画研究國司華子日本画栗林隆現代美術全般日高理恵子絵画―どんな授業・課題でしたか?自然物やそこに在るものを描くことが私にとっての日本画で、そうした絵画表現の入門的な風景課題だったと思います。ただ、私のようにオーソドックスに見えたままを描いている人もいるし、自分なりの風景を構成して描いている人もいるし、風景といっても何を描くかは自由でした。―制作した作品について教えてください。まだ画材に慣れていない段階で、いきなり焦点を絞った絵を描くのは難しいと思ったので、色彩の組み合わせが激しく、自然物と人工物が組み合わさった鉄道のトンネルを描きました。場所選びや構図決めもそうですが、苦労したのは作業の進め方の感覚をつかむこと。先生からアドバイスをもらいながら、使い慣れた水彩絵具との違いを理解していきました。これまでは受験のための絵ばかり描いてきたので、これからはいろいろなことに取り組んで経験を増やしながら、自分の表現を模索していきたいです。―制作した作品について教えてください。自由課題で、私は記憶をテーマに、昔行った海岸の風景と自分を描きました。アルバムを開いたときにふと目に留まった写真からよみがえってきたおぼろげな記憶をうまく絵にしたいと思ったので、写真のように細部を描き過ぎず、描くところと描かないところのメリハリや色数を意識して、想像の余地を残した作品を目指しました。講評では光の描き方や空気感、描くところと力を抜くところのバランスに好感が持てると評価していただき、自分としてもこのスタイルをもっと研究したいと思っています。―今後の目標は?何事も自分から動かないと4年間はすぐ終わってしまうと思っています。画材のワークショップがあったり、工作センターで資格を取れば専用工具でパネルや額も自作できたりと、主体性があれば何でもできる環境がムサビには整っています。グラフィックデザインや写真にも興味があるので、幅広い分野で研究を重ねていきたいです。―制作した作品について教えてください。制作から展示まで行うコンクール課題の作品です。力強い恐竜を描きたくて制作を始めましたが、折り返し地点にさしかかった頃、恐竜をただ描いているだけではないかと気付き、絵画的な面白さをどうすれば出せるのか模索する時間が続きました。ヒントになったのは、この課題の前に取り組んだドローイング。全身を使って描いたときの気持ち良さを思い出し、パステルで線描した恐竜と、胡粉でうろこを1枚ずつ盛り上げながら描き込んだ恐竜との対比から、異質な空間を生み出そうと考えました。先生からも指摘されましたが、せっかくドローイングに挑戦したので、もっと線で遊び、主張してもよかったと思っています。―制作した作品について教えてください。サイズは100号程度、自由なテーマで描く課題で制作した作品です。長野の民話「黒沢小僧」をもとに物語を想像し、少女と黒沢小僧が森の中を抜け出す場面を描きました。ショーヴェ洞窟壁画に描かれた動物の群れに儚さと力強さを感じたことをきっかけに、森の中で生き物たちが生まれ朽ちていく自然のループを表現しようと思い、支持体なしで和紙を円形に貼り合わせ、天井に吊るすことで洞窟のような展示空間をつくりました。和紙―今後の目標は?最近注目されつつある恐竜画の世界で、自分ならではの恐竜を描くことが課題です。学外で展示する機会も増やし、さまざまな意見を聞きながら、存在感と説得力のある絵画表現を探していきたいです。の接着方法や吊るす位置の高さ、光の当て方、強さなど、やってみないとわからなかった気付きがたくさんあり、それらを改善して卒業制作をかたちにしたいと思っています。―4年間を振り返ると?日本画学科では、作家や他大学の先生の話を聞ける特別講座や課外講座が豊富に用意されています。普段の授業だけでなく、そうした講座からもさまざまな制作スタイルを学べ、卒業後のヴィジョンを描けたことは収穫でした。

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