駒沢女子大学大学院 人文科学研究科 2025
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Graduate School of Human Sciences |……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………授業科目名●家族心理学特講(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践Ⅰ)田中 教仁●コミュニティ・ アプローチ特講(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践Ⅱ)藤川 麗●心の健康教育に関する 理論と実践●認知心理学特講●人格心理学特講●異常心理学特講●社会心理学特講●心理学研究法特講●臨床心理学研究法特講飯田 敏晴丸山 慎関 真粧美関 真粧美永房 典之冨士原 光洋稲吉 玲美講義等の内容家族心理学の知見は、医療、福祉、教育、司法などさまざまな実践領域で活用されている。これは、家族全体を援助の対象とするだけでなく、個人を援助していく上でも、家族という要素を切り離して考えることが難しいことを示しているといえよう。本講義では、個人や家族が直面する諸問題の理解と援助方法について、精神分析的力動論、家族システム論などさまざまな立場の理論を紹介し、夫婦の危機(離婚、DV)、児童虐待、高齢者虐待、犯罪・非行などについて、適宜臨床素材を用いて検討を深めていく。集団や地域社会に働きかける心理学的援助に関する理論と方法として、グループ・アプローチとコミュニティ・アプローチの基本的理論と技法を学ぶ。まず、グループ・アプローチの歴史と発想を学び、代表的なグループ・アプローチの1つとしてソーシャル・スキル・トレーニングを体験する。次に、コミュニティ・アプローチの歴史と発想を学び、危機介入法、コンサルテーション、多職種間の連携・協働といった方法をロールプレイやグループワークを通して体験的に学習する。心の健康に関する知識普及を図るための教育、情報提供の方法を学ぶ。心の健康教育の目的の一つに、「心の健康に関する問題を予防するとともに、健康行動を促進し、健康な状態を維持するために有効取り組み、特定の疾患に対する検診や受療、他者へ助けを求める行動の促進、さらには当事者への偏見や差別の解消を図っていくこと」が挙げられる。授業では、その実現のための理念、理論、技法等を学び、実際にプログラムを企画し演習として実行する。人間の認知のメカニズムを包括的に理解するためには、脳や中枢神経系の成熟・変化について知るだけではなく、身体と認知の関係および人間が遭遇する多様な環境との相互的(ないし相補的)な関係のダイナミクスについても知る必要がある。本講義では、とくに近年の認知科学における「身体性認知」、「生態学的心理学」などのアイディアに焦点をあて、“こころの動き”の本質にアプローチする方法について、改めてラディカルな視点から議論していく。人格理解のための理論について学ぶ。授業では最初に、類型論、特性論、精神分析的人格理論、行動主義的学習理論、人間性理論といった、主要な人格理論について講義する。その後はテキストを用いて、精神分析的な人格理論の理解を深める。精神力動的理解の基礎となる知識を身につけることで、心理療法、および心理査定における人格理解の一助となることが講義の目的である。臨床心理学の実践および研究における心理的問題や精神病理について理解する。特に、力動的な視点を援用し、クライエント本人の主観的な苦痛の体験についての理解を深める。症状名や診断名という切り口からだけでなく、当事者の主観的苦痛を想像し理解しようとする姿勢を身につけるためには、自分自身の主観を観察し、言語で表現できるようになることを重視する。臨床場面では、自己の性格、対人関係の悩み、集団内または集団間の葛藤、異文化への不適応といった問題が考えられる。また、このようなこころの問題やカウンセリングでは、自己の「感情」へのアプローチが重要な役割を果たすと考えられる。本講義では、自己の感情を専門的に学びつつ、社会心理学の基礎・応用的理解を目指す。また、社会心理学では、実験や調査などの実証的研究知見が多いことから、受講生自身の研究、修士論文作成に向けた調査票作成・統計処理やそのまとめ方の指導も行う。臨床心理学研究に用いられる観察法と質問紙法の理論と技法について講述する。観察法では、参加観察法、アクションリサーチの研究事例をあげ、その有効性と問題点を明らかにし、調査法では、質問紙のワーディングの影響による回答の異なりやサンプリングなどの問題を取り上げ、実践的技法について検討する。「こころ」の問題に対する援助活動を行っていく者に求められる重要な社会的責務の一つに、援助を求める人に対して確かな知識や技術的なかかわりを提供することがあげられる。この責務を果たすためには、臨床心理学的研究活動を行い、確かな知識や技術的なかかわりを裏づけるデータを積み上げる態度が求められる。そこで本講義では、臨床心理学研究に関する基本的な知識を学ぶことを通して、「こころ」の多様なありようを科学的視点から捉える力を養い、それらを実践の場に還元していく可能性を考える力を培うことを目的とする。※年度によって開講しない科目もあります。8

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