駒沢女子大学人文科学研究科大学院(修士課程)臨床心理学専攻 授業科目名●精神医学特講(保健医療分野に関する理論と支援の展開)竹島 正●障害者心理学特講(福祉分野に関する理論と支援の展開)小林 玄●学校臨床心理特講(教育分野に関する理論と支援の展開)綾城 初穂●司法・犯罪分野に関する 理論と支援の展開●産業・労働分野に関する 理論と支援の展開●心理療法特講A (遊戯療法)●心理療法特講B (芸術療法)●心理療法特講C(心理支援に関する理論と実践Ⅱ)(認知行動療法)片岡 優介●心理療法特講D(心理支援に関する理論と実践Ⅲ)(精神分析的心理療法)……藤城 有美子田中 教仁割澤 靖子織田 邦彦依田 尚也講義等の内容精神保健とは、人間とその行動の理解を踏まえ、「共に生きる社会」の実現という理念のもと、社会におこるさまざまな問題の実態と関連する要因を明らかにしつつ、社会との協働によってその解決を図り、社会をよりよいものにしていく活動をいう。精神保健の歴史、考え方、地域実践を学び、受講者自身の精神保健についての考えを深め、自らの生き方や実践の素材とすることを目的とする。近年の障害の捉え方や法律、制度を概観し、それぞれの障害特性を理解した上で、個々のニーズに即した支援の在り方を実例も交えながら考察していく。扱う障害は、肢体不自由、視覚障害、知的障害等の他、近年、医療や心理教育相談の場で扱うことが多くなった発達障害について、主訴から支援方針の立案までを詳説する。学校、相談室、医療機関で用いることの多い知能検査や認知発達検査についても言及し、現場に出たときの実践力にもつなげていく。教育領域に関係する知見や諸問題を、心理学的な観点から学ぶ。具体的には、教育心理学や発達心理学に関する知見や発達障害をはじめとする臨床心理学的知見に加え、いじめや不登校といった学校で生じる諸問題の理解や考えられる対応について学びを深める。対応については、いくつかの臨床心理学的理解に加え、主にナラティヴセラピーに基づく考え方を扱う。少年事件では、家庭裁判所調査官の社会調査や少年鑑別所の資質鑑別により非行の科学的分析が行われる。一方、刑事事件でも、応報的な罰だけではなく、犯罪に至った人の社会的な躓き、発達上の課題等を踏まえて適切な援助をする「治療的司法観」が世界的に広がっている。そのような状況を概観した上で、犯罪や非行のアセスメント、処遇、被害者への支援といった領域において、心理専門職が果たしうる役割について学んでいく。産業・労働分野では、Covid-19の蔓延をはじめとする予測不能かつ多様な変化への対応を迫られ続ける個人と組織が心理援助の対象となる。支援に際しても、特定の支援モデルに即して対応することには限界があり、いかなる変化にも臨機応変に対応できるよう、個人と組織に即した支援を柔軟に展開することが求められる。本講義では、産業・労働分野における基礎的な理論や法律の知識を修得することを第1の目的とする。そして、本領域で求められる柔軟な心理援助の在り方について、企業における心理援助の実際に触れながら、実践的に考える力を身につけることを第2の目的とする。プレイセラピー(遊戯療法)を理解するために、子どもによくみられる問題や症状、子どもの問題や症状を理解するために役立つ発達理論を学んだ上で、本にのっている実際のプレイセラピーの事例について興味を持った事例を各自発表し、全体でディスカッションを行う。さらに、プレイセラピーの実際の感覚に近いものを味わうために、プレイセラピーの演習を行う。また、プレイセラピー同様に、教育相談機関などで用いられている箱庭療法についても、グループで箱庭を制作する。絵画療法を代表とする芸術療法について学び、心理療法における非言語的なアプローチ、および、その適応と注意点について理解する。また、受講生同士で各技法を試行し合うことで、芸術療法におけるクライエント‒セラピスト関係の重要性について体験的に学ぶ。さらに、芸術療法に関する事例論文を読み込み、その臨床的意義と限界についても検討する。近年臨床心理の現場ではエビデンスに基づく治療と援助への要請が高まっている。その中で認知行動療法(CBT)による心理実践が多くの精神疾患や心理的な問題に対して有効な治療となることが確認されてきている。日本においても医療現場のみならず福祉・教育・司法・産業分野など幅広い現場で働く公認心理師、および臨床心理士にとってその知識やスキルは必須なものになっている。本授業では認知行動療法の基礎的な理論を理解し臨床現場で応用することのできる力を育成することを目的とする。認知行動療法は、セルフケアとしても活用できるアプローチである。来談者に対して使えるようになるだけでなく、受講生自身がセルフケアに使えるようにワークを用いながら体験的に理解できることを目指す。この講義は演習形式で行い、精神分析的心理療法の概略と、そのために必要な基礎知識を身につけ、ケースを精神分析的に理解できるようになることを目標とする。精神分析的な治療とは、第一にはフロイトが創始した精神分析の実践を指すが、わが国の臨床分野での実践形態としては、より幅広い応用が含まれている。ケースおよびセラピスト自身の内面を深く理解し、それを治療に活用していくことは、心理療法を進めていく上で非常に有用である。77講義の内容……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
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