法政大学 GUIDEBOOK 2025
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014家庭環境に悩む少年少女が居場所を持てる未来へ実践知の現場受賞をきっかけに事業も人脈も広がる「2022年度グッドデザイン・ニューホープ賞」最優秀賞を受賞した第3の家族。受賞をきっかけに、さまざまなデザイナーとも交流が広がり、事業が発展する転機にもなった。家にいると苦しい。虐待を受けていなくても、家庭環境に悩みを抱え、誰にも言えず苦しむ少年少女がいます。その数は4人に1人と言われており、写真に写っているイラストの通り、大きなケーキのうち1つだけデコレーションがないという割合です。意外と身近な問題と感じるのではないでしょうか。このように、家庭という日常に潜む問題に、デザインを通して立ち止まる機会を与え、悩める若者が将来に希望を見出せるよう、そっと手助けしたい。そんな思いで「第3の家族」を立ち上げました。きっかけになったのは在学中に作成したweb掲示板です。授業で学んだ知識を基に、家庭環境に悩む人が思いを吐き出せるサイトを作ったところ、予想以上に大きな反響があり、NPO法人化した現在は、新たな居場所を見つけるための情報をまとめたサイトなど、広く事業を展開しています。これらの活動には、自主性を生かす法政大学での経験が生かされています。在学中は、さまざまな分野のデザインコンペに挑戦し、仲間と日夜「デザインとは何か?」を議論し課題制作を行いました。自分の得意なデザインを知ると共に、使いやすさやユーザー視点で考えるデザイン思考を培いました。デザインを絵空事で終わらせず、社会で実際に役立てる力を得たことが現在の活動につながっていると感じます。今後は、辛い状況に自分自身で気付けていない少年少女にもアプローチできるよう活動領域を広げ、誰もが「家や学校の他にも自分の居場所はある」と希望が持てる社会の構築に向けて努力を続けていきます。NPO法人第3の家族代表奥村春香さん2022年デザイン工学部システムデザイン学科卒業デザインに思いを込めて、あらゆる課題を可視化する かす大学卒業後、LINE証券のデザインに携わる傍ら、在学中に立ち上げた「第3の家族」をNPO法人化。2023年にはForbes JAPANの「世界を変える30歳未満」に選出されるなど、デザインの力で社会課題に取り組む新世代のデザイナーとして注目されている。PROFILE

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