中央大学 理工学部研究室ガイド 2024
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私たちの体が骨や筋肉によって支えられ、かたちづくられる のと同じように、細胞の中にも「細胞骨格」とよばれる繊維構造があります。真核生物のおもな細胞骨格は、アクチンを単位タンパク質とするアクチン繊維と、チューブリンを単位タンパク質とする微小管です。単位タンパク質がばらける(脱重合する)と繊維は解体し、規則的に集まる(重合する)と繊維ができたり伸びたりします。重合と脱重合は厳密に調節されているので、細胞骨格はその時どきの細胞の活動にもっとも適した配置に変わることができます。これは、体の骨などとは大きく異なる特徴です。たとえば分裂中の細胞では、微小管が紡錘体とよばれる構造をつくり、その上を移動するキネシンなどのモータータンパク質のはたらきによって染色体を分配します。その後紡錘体は消失し、細胞の中央には新たにアクチン繊維とモータータンパク質ミオシンからなる収縮環が生じます。そして収縮環の収縮によって細胞を2つにくびり切ります。細胞機能学研究室ではこのような細胞骨格のはたらきについて、アクチン遺伝子やチューブリン遺伝子の変異体を用いて研究しています。 さまざまなチューブリンの変異体を単離 クラミドモナスのαβチューブリン二量体の構造(タンパク質立体構造予測プログラムによる)。研究室で新たに単離したチューブリンの変異体では、紫色、緑色、水色で示したアミノ酸が別のアミノ酸に変異している。これらの変異体は、微小管重合阻害剤に対して耐性や超感受性の異常を示す。 エレクトロポレーション装置を用いて、任意の遺伝子断片をクラミドモナスに導入することができる。 哺乳類培養上皮細胞にみられる細胞骨格 共焦点レーザー顕微鏡像による観察。核(DNA)を青色、微小管を緑色、アクチン繊維を赤色でそれぞれ示す。各細胞からは、一次繊毛とよばれる突起が伸びている。一次繊毛は微小管を主成分とし、細胞のセンサーとしてはたらく。 モデル生物クラミドモナスのさまざまな 変異体を解析する メイン生物、バイオ、バイオテクノロジー関連細胞運動のメカニズム/細胞骨格タンパク質の分子進化遺遺伝伝子子のの変変異異体体をを用用いいたた細細胞胞骨骨格格タタンンパパクク質質のの機機能能的的研研究究 94箕浦 高子 教授 遺伝子の変異体を用いた細胞骨格タンパク質の機能的研究生命科学科細胞機能学研究室細胞機能学研究室 生命科学科 箕浦 高子教授

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