3解析学研究室:松山 登喜夫 教授波動方程式は,古典力学における基礎的な方程式として知られている.研究対象は,係数が時間または空間に依存した波動方程式,及びより一般の双曲型偏微分方程式の解の振る舞いなどを解明することである.最近は,ポテンシャル項と呼ばれるものが付いた変数係数波動方程式の基本解に対する分散型評価式とストリッカーツ型評価式の導出に関心を持っている.分散型評価式とはルベーグ空間での解の減衰評価であり,またストリッカーツ型評価式とは時間と空間で積分した形の解の満たすべき不等式である.これらの評価式は非線形波動方程式の時間大域解や散乱問題に欠かせない不等式である.調和解析にも関心を持っており,関数空間論や特異積分作用素に興味がある学生と共に専門書や文献を読みながら双曲型方程式との関係を調べている.幾何学研究室:三松 佳彦 教授曲線や曲面を高次元化した概念である多様体を研究する微分位相幾何,多様体上の葉層構造・接触構造などの幾何学や力学系理論,数理物理を研究しています.卒業研究では,位相幾何学や古典力学などを通して幾何学の美しさを感じ,数学を築いてきた人々の精神を学びとることを目指します.また, ENCOUNTER with MATHEMATICSの運営も行っています.幾何学研究室:三好 重明 教授専門は位相幾何学,特に葉層構造の位相幾何学的研究です.現代の幾何学の基本的な対象は多様体と呼ばれる図形で,曲線や曲面の概念を一般化したものです.葉層構造というのは多様体の部分多様体の族への或る種の分解の事で,簡単に言えば,図形の上の縞模様を対象として,伸ばしても縮めても変わらない性質について研究しています.卒業研究では(微分)位相幾何学の文献を輪読します.代数学研究室:山崎 隆雄 教授専門は整数論と代数幾何の双方にまたがる数論幾何と呼ばれる分野で,特に力を入れてきたのがモチーフ理論の拡張です.モチーフ理論は1960年代にグロタンディークが提唱してから大きく発展しましたが,現在でも未開拓の広大な世界が残されています.私はモジュラスと相互層の理論を用いてこの未踏の地を探検してきました.ホッジ理論など古典的な話題との関係も考察しています.他にはモジュラー曲線の一般ヤコビ多様体や, p-進ソリトン理論なども研究してきました.計算数学研究室:山下 靖 教授専門は低次元トポロジーです。2次元や3次元等の多様体と呼ばれる図形の形の変化の様子に興味を持っていて、非ユークリッド幾何学(双曲幾何学)を主に用いた研究を行っています。研究方法としては、計算機を用いた幾何構造の可視化を併用し、まだ誰も見たことのないような図形を描きつつ研究を進めています。卒業研究では、低次元トポロジーや双曲幾何学の文献を輪読しつつ、それらを計算機上で描く手法についても学びます.統計科学研究室:酒折 文武 准教授多変量解析における種々の統計モデルと推測理論,ノンパラメトリック検定,統計的因果推論など,統計科学に関する様々な研究を行っています.理論的な研究とともに,現実社会のデータへの適用を通じて理論研究へのフィードバックと分析力の育成にも力を入れています.代数学研究室:渡邉 究 准教授専門は代数幾何学です.対称性の高い等質多様体と呼ばれる図形の特徴付けやファノ多様体に興味をもち,研究をしています.とりわけ,カンパーナ・ペターネル予想と呼ばれる未解決問題やファノ多様体上の有理曲線の幾何学に興味があります.代数幾何学やその周辺の分野について学生の皆さんと一緒に勉強や研究を行うことを楽しみにしています.数学科
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