卒業研究では,リーマン幾何・共形幾何・複素幾何・ベクトル束の幾何・幾何的変分問題・幾何的フローなどを学びます.いくつかの数学の雑誌のエディターをしたりしながら,学生とともに解析学を研究しています.卒業研究では,モース理論,微分形式の理論,双曲幾何学,リーマン面の理論等を学びます.現代数学の華ともいうべき題材をもとにして,代数学・幾何学・解析学が交錯する深い世界に触れることにより,数学の豊かさを体感することを目標にしています.2代数学研究室:佐藤 周友 教授整数論と代数幾何学の境界領域である数論幾何学を専門としています.有理数係数の代数方程式で定義された図形 (=有理数体上の代数多様体 )の数論が主な研究テーマです.代数多様体の類体論である高次元類体論は 1980年代に一通り完成した理論ですが,整数環上の代数的スキームの代数的サイクルとエタールコホモロジーの関係を詳しく研究することにより高次元類体論の一般化を目論んでいます.解析学研究室:澤野 嘉宏 教授関数の性質(微分可能性,サイズ)などを中心に研究しています.数学の分野でいうと,関数空間論,調和解析学,実解析学に相当しますが,偏微分方程式論,確率論などとも有機的に結びついている分野なので,解析学全体の研究をしている感じです.関数空間の言葉を用いて解析学を研究している色合いが強いです.中でもベゾフ空間,モレー空間はそれぞれ著書を書いています.幾何学研究室:髙倉 樹 教授位相幾何学および微分幾何学を専門としています.特に,多様体への変換群の作用と,そこから商空間として得られる様々な高次元の多様体の構造を研究しています.各種の不変量を手がかりとして,空間の大域的な様子を理解するのが主な目的です.数学科研究室幾何学研究室:芥川 和雄 教授微分幾何および幾何解析・大域解析を専門としています.多様体と呼ばれる高次元の曲面に,形を与えるリーマン計量 (=重力場のポテンシャル )という幾何構造を付随させたものがリーマン多様体です.リーマン計量やその他の幾何構造の中で,最適なものを見出すこと・それらの性質を調べること・幾何やトポロジーへ応用することなどを中心に研究しています.解析学研究室:津川 光太郎 教授関数解析やフーリエ解析を道具として偏微分方程式論を研究しています.私はその中でも特に分散型の波動現象を記述する非線形方程式に興味を持っています.卒業研究では,広い意味で偏微分方程式に関連するテキストを輪講します.例えば,皆さんがこれまで学んできた解析学の知識が工学や化学や生命などの様々な分野の現象解析にどのように応用されるかを学んだり,現代の偏微分方程式の研究における基本的な道具であるソボレフ空間とその応用を学んだりします.統計科学研究室:前園 宜彦 教授様々な場面で収集されるデータを解析するときには,必ず統計手法を利用しています.また解析結果を適切に利用するためには,背景にある理論を理解する必要があります.統計理論は数学を基にしており,数学科の学生にとっては取り組み甲斐のある分野です.専門は統計モデルの仮定をなるべく少なくし,解析結果の妥当性を保証するノンパラメトリック推測です.特に統計的リサンプリング法およびカーネル法と呼ばれる解析手法の研究を行っています.ゼミ等では社会に出たときに,学んだことが生かせるようになることを目標としています.
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