■研究室の概要私たちは、都市環境学の中の「交通まちづくり」について研究し、実践する研究室です。都市の交通問題を把握し、その原因を解明し、解決策を提案し、評価するための、計画論と計画手法を中心に扱っています。研究室の英文名は、Mobility Planning Laboratoryです。移動(=Transport)だけではなく、移動の先にある活動、そして、暮らしを意識して取り組む点に特徴があります。 「交通まちづくり」は発想の転換から生まれました。従来のように目先の交通問題への対応に終始することなく、暮らしやすいまちの実現に向けて何ができるのかを考えて交通問題を解決していくことが望まれます。まちづくりと交通を別々に切り離して行うのではなく、「交通と一体となって進めるまちづくり」へ転換することが必要です。暮らしやすいまちのビジョンを議論し、市民で共有し、そのビジョン実現に向けて、行政・企業・市民の協働で粘り強く取り組むことが望まれます。 「交通まちづくり」の典型は、ストラスブールやポートランドなど、欧米における脱クルマ社会のまちづくりに見ることができます。わが国の先進事例は、富山市の「公共交通を軸とするコンパクトシティ」、団子と櫛の都市構造の提案とその実現です。最近は、ストラスブールや富山市の成功を受けて、「暮らしやすいまち」とは、「若者も、子育て世帯も、働き盛りも、高齢者も、男性も女性も、生きていくために必要な活動は勿論、それに加えて、それぞれの人生を豊かにする、個人の望む活動を居心地のよい仲間たちと共に展開できるまち」と説明し、その実現に貢献する交通計画を探求しています。 研究テーマの骨格は、気の合う仲間と好きなことができる「居場所」と活動ニーズに合わせた低廉で便利な「新しい交通サービス」をどのように組合せて、持続可能な形で実現できるか、です。実践的な課題は、それぞれのまちで、「暮らしやすいまちのイメージ」を議論し、それを実現するために施策の方向性を合わせ、失敗を繰り返しながらも、戦略的に粘り強く進めていく取組みを進めることです。 図.「暮らしやすいまち」に貢献する交通計画 最近関心の高いテーマは、中心市街地の活性化や活力ある超高齢社会の実現に貢献する交通計画や、自動運転技術を活用した新しい交通サービスや通信技術による新たなライフスタイルに対応した公共交通サービスの設計と評価です。「人は何故移動するのか」という根本的な問いを意識しつつ、時代に応じた新しいライフスタイルを支える、新しい交通サービスの提案に、みなさんと一緒に取り組んでいきたいと思います。 【参考文献】; 1.原田昇編著、交通まちづくり~地方都市からの挑戦、鹿島出版会、2015.72.新谷洋二・原田昇編、『都市交通計画』第三版、技報堂出版、2017.8XXXX号室サイバネティクス、人とシステム人工知能/感性工学研究室でメインに学べるキーワード関連して学べるキーワード※P1の一覧表と合わせてご参照ください。【キーワードの見方】メイン関連メイン都市設計、防災、都市デザイン関連データ科学、統計、空間情報/都市交通計画23交通まちづくり研究室暮らしやすいまちの実現に貢献する「交通まちづくり」を推進します都市環境学科原田 昇教授
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