中央大学 理工学部研究室ガイド 2024
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(A) (B) サイバネティクス、人とシステム人工知能/感性工学研究室でメインに学べるキーワード関連して学べるキーワード※P1の一覧表と合わせてご参照ください。【キーワードの見方】メイン関連メイン生物物理関連生物、バイオ、バイオテクノロジー11(A)の下の板の上にある色の付いた部分がF1モーター.オレンジ色の部分が回転軸. 上に結合した白い二つの玉に(B)の図の仕組みで回転電場をかけて分子モーターにトルクを与える. 宗行 英朗 教授 生物の持つ分子機械を「わかったぞ」と言えるまで、とことん突きつめる。物理学科生 物 の 持 つ 分 子 機 械 を 「 わ か っ た ぞ 」 生物物理学研究室と 言 え る ま で 、 と こ と ん 突 き つ め る 。 宗行 英朗教授生物の体の中には様々な蛋白質があって生きている状態を保っています。それらの蛋白質の中でも、回転によって力学的なエネルギーと化学物質の持つエネルギーの変換を行うもの(回転分子モーター)や、光のエネルギーで生体膜を横切るイオンの流れを起こすもの(光駆動イオンポンプ)などは分子機械と呼ばれ、私たちの研究室ではこれらをエネルギー変換の観点から研究しています。 私たちが研究している回転分子モーターは、日本が世界に先駆けて一分子観察の技術を用いて回転を実証したF1モーターと呼ばれるものですが、このモーターにはエンジンのように閉じこめた空間の中でガソリンを燃焼させるような仕組みはありません。無理矢理、高温や高圧を作ることはしていないのです。この仕組みを解く鍵のひとつはブラウン運動です。当研究室ではこの分子モーターの働きを、外部から回転する電場を加えて逆に回そうとする力を加えて、その応答を見ることなどにより調べています(下図)。 もうひとつの研究対象である光駆動イオンポンプは、高度好塩菌というバクテリアの細胞膜にあるもので、光を吸収して水素イオンを細胞の外に吐き出すもの(バクテリオロドプシン)や、塩化物イオンを細胞の中に取り込むもの(ハロロドプシン)が知られています。これらのイオンポンプの働きを調べるためにレーザーを当てて、そのときのイオンの動きを超高感度の電流計や電圧計で測り、ラチェットモデルと言われる理論モデルとの関連を念頭に置いて研究しています。ラチェットモデルは情報熱力学の観点からも考察が進んでおり、これからの発展に期待しているところです。 上記のように様々な装置を使ってタンパク質の働きを調べていますが、当研究室の自慢のひとつは、これらの装置のほとんどが部品を組み合わせて自分たちで組み立てたものであることです。 あなた達の先輩が、自分で苦労して工夫して、世界にひとつしかない装置を組み立てて、まだ誰も見たことのない世界を観察しようとしています。そして最後には、「よし、わかったぞ!」と言えるような理解の仕方を物理学の言葉でしようとしています。このような世界に物理学の基礎を身につけて挑戦してみませんか。

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