中央大学 理工学部研究室ガイド 2023
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研研究究概概要要 持続可能な社会を実現するためには、人と自然との調和について考え、それを実現するための手段を見つける必要があります。そのためには現在の社会で大量に消費されている資源やエネルギーを効率良く使うことや、より効率的に循環させる方法を考えていかなくてはなりません。 本研究室では、人間活動が環境に及ぼす影響を少なくし、人間生活を豊かにするために、社会で良く使われる、粉と気体が関与する環境とエネルギーに関わるシステムの研究を行っています。・未利用低温排熱を有効利用するためのエネルギー貯蔵・利用システムの研究廃棄物処理で単純焼却や産業界で排出される未利用の低温排熱を使うことで燃料消費量を大幅に削減することを目指した研究で、研究室の大きな柱になっています。これは、低温排熱によりシリカゲル等の蓄熱剤を乾燥することにより蓄熱を行うものです。蓄熱剤は簡単なシールで数年単位の長期間保存が可能です。単純な熱貯蔵では大量に断熱材を使ったとしても、比較的短い時間で貯められたエネルギーを失うことと好対照です。そのため、蓄熱剤を離れた熱需要地に送理、貯蔵することで熱需要に応じた熱供給が可能となります。また、吸着剤は空気中の湿度を吸着して熱を発生しますが、熱と同時に非常に乾いた空気を製造することも出来ます。これを使うと低湿度の快適な空気や最先端の半導体や電池製造に不可欠な超低露点空気を大量に供給することが出来ます。あるいは、吸収式冷凍機のように蒸発潜熱を水から奪うことが出来ますので、冷熱供給が可能となります。現在は、氷製造を目指したシステムについて検討をしているところです。これらの概念は主として街作りの中に活かせるものと考えていますが、当然、産業界でも有効に利用できると考えています。・化学ループ燃焼・ガス化を利用した水素製造や水素製鉄の研究高温で金属を空気と接触させると発熱し酸化金属になるので、この熱を発電に利用できます。あるいは、水蒸気と接触させると水水素素と酸化金属になるため、大量の水素製造に向いています。酸化金属は別の場所で還元性のガス(メタン等の炭化水素、CO、H2等)により還元されると金金属属とCO2やH2Oになります。この二酸化炭素を回収・隔離すると二酸化炭素を大気中に放出しないシステムを作ることが出来ます。また、自然エネルギーで作られた水素を使うと二酸化炭素を出さない製鉄が可能となります。このように高効率なエネルギー変換と二酸化炭素回収を目指した化学ループ反応の研究はもう一つの柱となっています。蓄熱剤利用エネルギーネットワーク 化学ループ反応の概念図 メイン自然環境とエネルギー関連低温/その他(粉粒体)104環境・エネルギー研究室人間総合理工学科幡野 博之教授(2024年3月退職予定)粉の流動化が環境・エネルギー・健康問題を解決

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