中央大学 理工学部 2025 GuideBook
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50腹腔鏡下手術に要する医師を減らすため内視鏡操作支援ロボットの開発を行っています。スポーツ競技練習支援システムの研究Check人を幸せにできる学問「工学」。生体工学を通して「食」を豊かに 医療工学と生体工学の二本柱を掲げて研究を行っています。医療工学では対象をヒトとして、医療や福祉の現場で活躍するロボットの開発、新しいリハビリ手法やスポーツトレーニング手法の研究を行い、生体工学は、その対象がヒト以外の生物になると考えるとわかりやすいでしょう。生体工学では、工学的手法に基づくバイオメカニズムの解明、養殖技術の研究などを行っています。中でも私が近年積極的に取り組んでいるのは、「閉鎖循環式陸上養殖の自動化および知能化」に関する研究です。海産物の養殖技術の研究を通して、世界中の人々の食の安定供給を目指しています。海産物の効率的で高品質な生産・管理を目指して 海産物の養殖は、海またはその近くで行われることが一般的です。これに対し、陸上養殖は場所を選ばず、また台風や赤潮など気候や気象の影響を避け、病気も抑制できるため安定生産が可能です。しかし、海と同じ環境を陸上に構築する必要があり、高コストになることが普及の妨げとなっています。そこで、当研究室では、水質の管理や魚の生育状況および健康状態のモニタリング、給餌作業などを自動化し、比較的安価に高品質な海産物を、高効率かつ安定的に生産可能な知能的閉鎖循環式陸上養殖システムの実現に取り組んでいます。現在、長崎県の株式会社水産未来研究所という養殖システムの開発や販売を行う企業と連携し、日々技術の高度化を図っています。具体的には、ICT技術、画像処理技術、AI技術等を活用し、対象魚に対し最適な水質環境を維持すること、メンテナンスの自動化および効率化、個体の管理や出荷作業を支援する技術の研究に取り組んでいます。研究室では2槽の実験水槽を構え、対象魚「クエ」を飼育しています。これらの研究では電気電子情報通信工学の知識に加えて、応用対象である魚の生態や養殖業に関する知識も必要です。 このことは、医療工学・生体工学のいずれにおいても重要なことで、自らが見出した技術が活用される現場のことを専門分野と同等に勉強する必要があるのです。何事にも興味関心を持ち、「世の中のこういう問題を解決したい」「もっとこうだったらいいのに」という気持ちを持った学生さんと一緒に研究できると嬉しいです。世界中の人々の医療や食に貢献する技術の実現を目指して、一緒に研究をしてみませんか。電気電子情報通信工学科の詳しい研究内容はこちらから医療・生体電気電子情報通信工学科諸麥 俊司 准教授生体医工学研究室最先端の技術を活かし現場の課題を解決。工学で豊かな暮らしを叶える

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